「うん、魚、美味しい~。カリッとして、中はふっくらとしてる~。」とムニエルにした銀鮭を食べて、つぶやく長男。
お。わかっているな。と思う私。
次男はなかなか食べ進まないが、上手に骨も出しながら、比較的スムーズに食べていた。
「全部食べたら、メロン食べようね!」
定期便で、私の大好きなメロン品種「サンデーレッド」が届いてた。
扱っているメロンの中で、最も気に入っている(ちょっとエラそうか)。
父と私、長男が食べ終わり、次男も、少し手伝いながら、食べ終わりそう。
三男は相変わらず、食べたり、席を離れておもちゃと遊んだりしている。
作戦を変え、メロンを早々に出すことにした。
まな板を机に持ち出し、みんなの前に出して包丁でカット。
次男はとても喜び、「これ食べる、これ食べる!」とはしゃいだ。
夕食のラストスパートにも力が入る。
先に、父と長男に8等分にしたものを皿に盛ってあげた。
少し眠そうだった長男も、途端に目が覚めたようで、
「おいし~!」と絶叫。
「うん。これはうまい。夕張か!?」と父。
ギョーカイの人間としては、”赤肉=夕張メロン”というテーゼにはいささか辟易としているので、「おっと」と思ってしまったが、
「いや、これは、秋田のメロンで、”サンデーレッド”というメロンでございます。」
そして少し悲しい話。
「僕が一年間で扱っている中で一番好きなんだけど、作る人が年々少なくなっているみたいで…。昔、訪ねた時には70名くらい作っていたのだけれど、今年は4人しか作っていないらしくて…。」
サンデーレッドは、秋田独自の品種。
収穫後すぐに食べられる赤肉メロンで、香りも、味もとても良い。
そして一株一果のメロンではないので、お値段もそこまで高くない。
が、一方で、栽培がむつかしく、栽培適期が短い。
6月25日から7月10日の、一週間~10日間ほどしかない。
また、すぐ食べられる=日持ちしない。
売り手は、メロンに常温でも日持ちをする、という価値を求める。
そして、外観がいまいち。
対抗品種である”レノン”というメロン品種のほうが、外観=ネットの張りが美しく、作りやすい。
70名いた農家さんのほとんどが、その”レノン”に乗り換えてしまった。
次男も夕食をきれいに食べ終わり、いよいよメロン。
まだスプーンでは食べられないので、包丁で、カットしてサーブ。
フォークでさして喜んで食べ始めた。
三男も、いよいよ気になりだしたのか、おもちゃを放置して席に着く。
「ごはん食べた人だけだよ。」というと
もくもくと食べ始めた。
元々ごはんは好きで、魚も好きである。
食べ始めたら早かった。
メロンをカットして皮から話してお皿に盛った。
フォークでほおばる。
すでにメロンを食べ終わって、それを見ていた長男が、
「ずるいー良いな~」という。
「まだ食べられるんなら、食べなよ。良いよ、別に、切ってあげるよ。」
「えーかーちゃんにとっておかないの?」と次男。
「かーちゃん、メロンとかスイカとか嫌いだから大丈夫だよ。」
「え~」と意外そうな息子たち。
とにもかくにも長男お代わり。
父を振り返ると何か言いたそう。
「まだ食べる?」
「食べます。」と即答。
余程美味しかったらしい。
二人にさらに8等分をサーブ。
私もようやくメロンにありつく。
…うまい!!!
例年にまして美味しい。
70名の大所帯で、腕にもばらつきがあったのが、本当に腕に自信のある人だけが残ったのだろう、素晴らしく美味しかった。
これはフィードバックしなければなるまい。
「僕も~」と次男。
8等分をまたカットして、次男の皿に盛った。
男子5名で、秋田のサンデーレッドメロンは瞬く間になくなった。
自分が作ったわけでもないのに、なんだかうれしい。