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小噺 社長日記

あるお迎え当番の日3

「うん、魚、美味しい~。カリッとして、中はふっくらとしてる~。」とムニエルにした銀鮭を食べて、つぶやく長男。

お。わかっているな。と思う私。

次男はなかなか食べ進まないが、上手に骨も出しながら、比較的スムーズに食べていた。

「全部食べたら、メロン食べようね!」

定期便で、私の大好きなメロン品種「サンデーレッド」が届いてた。
扱っているメロンの中で、最も気に入っている(ちょっとエラそうか)。

父と私、長男が食べ終わり、次男も、少し手伝いながら、食べ終わりそう。

三男は相変わらず、食べたり、席を離れておもちゃと遊んだりしている。

作戦を変え、メロンを早々に出すことにした。
まな板を机に持ち出し、みんなの前に出して包丁でカット。

次男はとても喜び、「これ食べる、これ食べる!」とはしゃいだ。
夕食のラストスパートにも力が入る。

先に、父と長男に8等分にしたものを皿に盛ってあげた。

少し眠そうだった長男も、途端に目が覚めたようで、

「おいし~!」と絶叫。

「うん。これはうまい。夕張か!?」と父。

ギョーカイの人間としては、”赤肉=夕張メロン”というテーゼにはいささか辟易としているので、「おっと」と思ってしまったが、
「いや、これは、秋田のメロンで、”サンデーレッド”というメロンでございます。」

そして少し悲しい話。

「僕が一年間で扱っている中で一番好きなんだけど、作る人が年々少なくなっているみたいで…。昔、訪ねた時には70名くらい作っていたのだけれど、今年は4人しか作っていないらしくて…。」

サンデーレッドは、秋田独自の品種。
収穫後すぐに食べられる赤肉メロンで、香りも、味もとても良い。
そして一株一果のメロンではないので、お値段もそこまで高くない。

が、一方で、栽培がむつかしく、栽培適期が短い。
6月25日から7月10日の、一週間~10日間ほどしかない。
また、すぐ食べられる=日持ちしない。
売り手は、メロンに常温でも日持ちをする、という価値を求める。
そして、外観がいまいち。

対抗品種である”レノン”というメロン品種のほうが、外観=ネットの張りが美しく、作りやすい。
70名いた農家さんのほとんどが、その”レノン”に乗り換えてしまった。

次男も夕食をきれいに食べ終わり、いよいよメロン。
まだスプーンでは食べられないので、包丁で、カットしてサーブ。
フォークでさして喜んで食べ始めた。

三男も、いよいよ気になりだしたのか、おもちゃを放置して席に着く。

「ごはん食べた人だけだよ。」というと
もくもくと食べ始めた。

元々ごはんは好きで、魚も好きである。
食べ始めたら早かった。

メロンをカットして皮から話してお皿に盛った。
フォークでほおばる。

すでにメロンを食べ終わって、それを見ていた長男が、
「ずるいー良いな~」という。

「まだ食べられるんなら、食べなよ。良いよ、別に、切ってあげるよ。」
「えーかーちゃんにとっておかないの?」と次男。

「かーちゃん、メロンとかスイカとか嫌いだから大丈夫だよ。」

「え~」と意外そうな息子たち。

とにもかくにも長男お代わり。

父を振り返ると何か言いたそう。

「まだ食べる?」

「食べます。」と即答。

余程美味しかったらしい。

二人にさらに8等分をサーブ。

私もようやくメロンにありつく。

…うまい!!!

例年にまして美味しい。

70名の大所帯で、腕にもばらつきがあったのが、本当に腕に自信のある人だけが残ったのだろう、素晴らしく美味しかった。
これはフィードバックしなければなるまい。

「僕も~」と次男。
8等分をまたカットして、次男の皿に盛った。

男子5名で、秋田のサンデーレッドメロンは瞬く間になくなった。
自分が作ったわけでもないのに、なんだかうれしい。