「パースニップはね、キク科で、ごぼうの仲間。だから風味がほかのにんじんと違うんだよね。」
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昨日、多種多様のにんじんがお店に届いた。
永田次郎さんの手のもの。
会社を引退してから、いろいろ研究しながら農作業することに本当に熱中しているようだ。
制覇したいのは、どうやら三つ。
じゃが玉人参である。
この春、玉ねぎは10種類くらいを植えていたようで、ずいぶんとたくさんの品種がお店には並んだ。
今からはじゃがいもと人参。
にんじんは8種類植えたようだが、紫人参だけ失敗。
掘ってみたら、先がとろけているものばかりでものにならなかった。
紫人参はファンがいるので、少し残念。
昨日届いたのは、白と黄色、丸人参に、パースニップ。
あまり知られていないかもしれないが、人参は、出荷の際、”洗い”という作業を行う。
ただ、実際には皮むきに近く、人参の表面の薄皮を、たわしのようなもので”削って”いく。
人参農家には必ずその機械がある。
日持ちが悪くなるが、外観が非常によくなり、きれいになる。
ただ、次郎さんは、人参専門でないので、そのような機械設備は持ち合わせていない。
もともと浜松の三方原台地は、にんじんの栽培には不向きだと会社の先輩に聞いたことがある。
赤土の粘りのある土壌で、少し硬いので、にんじんがうまく太らないのだ。
周辺の農家さんも作っていないから、機械をお借りすることもできなかっただろう。
だから、いずれの人参も少し外観が悪い。
今月は二つの公演をこなす、販売スタッフK氏(本業:役者)と裏方でさっそく試食。
白と黄色と丸人参はとても甘みがあって美味しい。
が、パースニップは…!
独特の苦みがあり、薬っぽい味。
そして、かなり甘い。
「イギリスとかアメリカではよく食べられるんだよね。むこうの人は好きらしいよ。」
なんて、他人事のセリフをはいた後、
「パースニップは、たしか人参と科が違うんだよね。人参はセリ科だけど、パースニップは確かキク科で、ごぼうとかレタスの仲間なんですよ。ほら、軸の断面がごぼうに似ているでしょ。」
「本当だ。」とK氏。
「しかし、リパックして店に並べたら、白にんじんとまったく区別がつかないですよ。」
「いやいや、この太い軸と、ごぼうに似た断面。これで区別できるよ。」
まあ、店頭では一つ一つにお値段シールを張って、品名も分かるようにするので、大丈夫なのだが、、、
レタスの株の切り口から出る白い液体も苦い。
その味に似ているかなあ。
―ところが。
今きちんと調べてみたら、パースニップは、人参とおなじセリ科であった。
Kさんごめん…。
欧米でも好き嫌いが分かれる野菜だが、スーパーでも山積みにされて売られており、メジャーな野菜の一つである。
そして、煮込みが美味しい。
すこし長めに、20~30分くらいゆでてあげると、かぶのようなじゃがいものようなほくほくした食感で、甘みがあって美味しい。
薬のような風味も穏やかになる。
ビタミンCやカルシウムも豊富。
常食、とは言わないまでも、ぜひ一度食べてみてほしい。