昨年に引き続き、松屋銀座が全館お休みとなった。
松屋は、銀座で最も古い百貨店で、来年で150年目を迎える。
あまり知られていないが、4つの建物がくっついた構造になっている。
だから全館のメンテナンスが必要らしい。
10時から20時という10時間の開店時間にきちんと販売スタッフを配置するにはシフト制が不可欠である。
一人の人が一日に働くのは8時間、と決まっているからだ。
もっと言えば、週7日毎日営業しているのだから、シフト制はさらに不可欠。
一人の人が働けるのは1週間で5日間だからだ。
だが、このシフト制が生む弊害は小さくない。
土日が休みの企業であれば、全員の休みが共通であり、したがって、勤務時間も共通であり、顔を見合わせる時間が多くなる。
これが、お店ではなかなかむつかしい。
二人の従業員が、顔を見合わすのは、週7日のところ、最低だと3日間となる。
勤務時間もりょくけんの場合、8時から21時半と長い。
この13.5時間を埋めるために、朝番と遅番と二つのシフトが生まれるわけだが、さらに厨房は朝7時から作り始めて、開店の10時に間に合わせようとするので、さらに時間がずれる。
この時間差が、コミュニケーション不足を招き、共通の目標が漏れたり、齟齬が生まれる。
何かイベントをしようにも、全員で集まることは不可能だ。
唯一の休みは元旦だったが、さすがにその日に「集まろう!」とは言えない。
ところが、6月6日、昨年に引き続きお休みが決まった。
この機会を逃すわけにいかない、とあまり後先も考えず、産地への研修旅行を全スタッフに提案した。
山梨に行こうか、長野に行こうか、いや近場で三浦も良い。
いや、やっぱり創業の地である浜松であるべきか…。
そんな迷いを持ちつつ、全スタッフさんに希望を聞いた。
まずは行きたいか、行きたくないか。
行きたいなら、候補地のどこが良いか。
私が一人で産地に出張に行くときには、それこそ、4時に起きて、6時台の飛行機にのって、日が出ている間中は農家さんを訪ねて、帰りは一番遅い便で帰ってきて、自宅につくのは0時を過ぎることもある。
が、スタッフさんには家族もいれば、翌日が朝7時から仕事の人もいる。
どうやら帰り時間がポイントであることが分かった。
であるならば、浜松は無理か…。
行くだけで4時間、仮に渋滞につかまれば、計算しきれない。
三浦か山梨かなあ。