”無農薬”という言葉がある。
現在は、無農薬を表示して青果を販売することは禁止されている。
2003年以降のことだ。
青果の安全安心の象徴ともいえる言葉だが、今は使ってはならない。
なぜか。
―あいまいだからである。
”無農薬栽培”と言っても、使ってよい農薬が存在し、消費者に誤解を与える、との判断だった。
使ってよい農薬とは、ボルドー剤など古くから使われている農薬や、微生物農薬。
”農薬”は定義がされて登録されており、その中には、一般常識的には”薬”という印象が少ないものもある。
例えば、「奇跡のりんご」で有名な木村さんが使ったのはお酢であるが、要は”酢酸”という物質であり、こちらも農薬に位置付けられている。
他には、「飛散(ひさん)」と言って、隣接する畑で使用された農薬が期せずして振りかかることがある。
風の強い日には、当然のごとく、降りかかる。
日本では、自分の畑と他人の畑の境があまりない。つい隣で使っている農薬が風に流されてやってくる可能性が否定できないのだ。
こうした理由で、「無農薬」だったり「無農薬栽培」といった表記は現在禁じられている。
同様の理由で、減農薬栽培、低農薬栽培 の単語も禁じられている。