お店に立っていると
「やだ、このりんご、ワックスぬってるの?大丈夫?」
と聞かれたりします。
日本の農家が、りんごに人口のワックスを塗ることは、まずありません※。
柑橘にせよ、りんごにせよ、ワックスにはお金がかかります。
設備も必要ですし、手間も必要です。
だからよほどの費用対効果が無ければワックスを使う方はいません。
またりんごの品種は数多くあるので、”りんご”というカテゴリーで、品種のリレーが可能なので、ワックスを使用する必要が無いのかもしれません。
でも、確かにりんごを触るとべとべとするものが手につきます。
あれはいったいなんなんでしょう?
答えは、りんご自身が出す「天然のワックス」。
不思議なものでくだものは自分を乾燥や腐敗から守ろうとして蝋に似た成分を分泌するのです。
とても良い香りがします。
この量や分泌時期は、品種によって異なりますが、おおむね、日持ちの”悪い”品種に多いような気がします。
たとえば津軽(つがる)。
甘いりんごのトップバッターで、早生のりんごです。
もっともはやく流通するりんごなので、重宝しますが、いかんせん日持ちが悪いりんごの代表格。
ワックスも割と早く出ます。
りんごの皮につく蝋成分=ワックスは、人工的なものではないので、ぜひ安心してお召し上がりください。
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※極早生のみかんはとても傷みやすいため、植物由来のワックスを使うことがあります。※2
海外から輸入されるオレンジ、グレープフルーツレモンには、ほとんどの場合、チアベンダゾール(TBZと略す場合があります)、もしくはイマザリルという防カビ剤がワックスで使用されています。日本で使われるワックスが、水分の蒸散防止などの「被膜」であるのに対して、チアベンダゾールとイマザリルは、殺菌=防カビです。両方とも、日本では使用禁止になっています。※3
※2 主成分はカルナバ蝋というカルナバヤシの葉のワックス分だったり、セラックという東南アジアに生息するラックカイガラムシの作り出す天然樹脂です。
※3 なぜ日本で使用禁止の農薬が使われているかというと、食品添加物として認められているためです。