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嬉しいお知らせと…

北海道余市のくだもの農家 安芸さんから一枚のファックスが届いていた。

息子さんが立派に武者修行を終え、就農したとのこと。
前回お会いしたのは、まだ大学に在学していた夏だったと思う。安芸さんを細面にしたような、文字通り、若さのあふれるような青年だった。

「卒業してすぐに家に入れるのは嫌なんだよね。できればどこかよそで2~3年修行してから戻ってきてくれれば。」

と安芸さんがおっしゃっていたっけ。

「ついでに嫁さんも見つけてきてくれたら嬉しいんだけど。」などとも。

人は年を取る。農業は力仕事だから、切実な問題だ。どの農家でも後継者問題がある中、安芸農園に後継者が入ったことは、一ファンとして、とても喜ばしい。

ただ、同じファックスにファンとして、大変ショッキングな一文もあった。

ブランディーワインとグランドチャンピオンの樹を切った、とのこと。

安芸さんのプルーンも昂林りんごも、アカネも、ナイアガラも大好きだが、一番すきなのは、その二つの西洋梨だったので、少し寂しくなった。

胴枯病にかかり、ここ数年、危なかったのが、いよいよだめになってしまったのだとか。

本州ではめったに作付けされてない品種の西洋梨だが、北海道では比較的メジャーな品種で、安芸さんの周りにも作っている方がいるのは知っている。

と同時に、生産者や畑が少し変わるだけで、その味が変わってしまうのも、よく知っている。

今年の秋は、少し寂しくなる。