以前、師匠である上司が言っていた。
「ネーブルはね。収穫したての1月よりも、果肉に粘りが出てくる2月後半からの方がうまいんだよ。」
果肉に粘り???納豆じゃあるまいし、誤解を招く表現だ。
若かった自分は、そんな風に思ったものだ。
今、2月後半。
ネーブルは、この上なく美味しくなっている。果肉に粘りが出て。
でんぷん質を多く持つくだものでは、「追熟」といって、収穫から貯蔵することで、でんぷんが糖に変わり、あまくなるものがある。バナナやキウイ、西洋梨がそれだ。
一方で、メロンなどは、追熟はするものの、糖度は上がらない。果肉がやわらかくなり、ジュース分が増えることにより、よりあまく感じるようになるのだ。
「人間の舌なんてあてにならないものなんだよ。糖度は変わらないが、舌に着く面積が大きくなると、味を強く感じるようになるんじゃないかな。」と師匠。
「果肉の粘り」は、要は、やわらかくなったことを意味する。
新鮮なうちは、ハリがあって、ネーブルの果肉は硬い。それが、収穫から一ヶ月もすると水分が蒸発し、酸味が抜け※、しんなりしてくる。持った感触には歴然の差がある。
このタイミングが、師匠オススメの「食べごろ」。
福岡の古賀で森さんが育てるネーブルは、地元生まれの品種「山見阪(やまみざか)」。着色が早い品種で、どちらかというと、食味がよいというよりは、早く収穫できる特徴のイメージが強い。
森さんは、地元生まれだから、という理由で、「山見阪」を作る。そして決して早もぎはせず、きちんと完熟させる。
だからおいしい。
今年はひときわおいしい、当たり年だ。
くし型に切って、食べてみる。ジューシーであまい。糖度を測ると13.9度あった。
1月に測ったときには、12度切るくらいのものが多かったのだが。かんきつは貯蔵することで、糖度は上がらない、と習ったが、そうでもないような。
水分が抜けて、その分、糖分の割合が増えるのだろうか。
何はともあれ、果肉に”粘り”のある山見阪ネーブルオレンジ。食べごろだ。
■ネーブルオレンジ 福岡県産 約3kg(12~15玉くらい) 3,675円
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