電車で行くと、佐賀県、肥前山口駅が、最寄の駅になる。駅からちょっと南に行くと、平野が広がり、きちんと区画された大きな面積の畑が多くなる。
そこが、佐賀県白石(しろいし)町だ。
古くは弥生時代から、干潟が自然と陸化した地帯で、400年前に、人工の干拓が行われた。つい百年前にも、人工の干拓が行われて、農地となった場所で、当時の塩分を含むのか、何をつくっても、農産物の味が濃くなるという。
加賀れんこんに岩国れんこん。関東では(全国的にも)、茨城が大産地であるが、日本には多くの産地名を冠したれんこんがある。ものの本を読むと、れんこんには在来種と中国種がある、と書かれている。各地方のブランドれんこんは、日本在来種のように思われるが、それは正確でない。日本の在来種は極端に細く、根が深いために、収穫が困難で、経済性が低く、今では、作っている人を探すことがとても困難だ。もちろん、2000年前の遺跡から発見された種から育てたという「大賀ハス」などのロマンもあるが、加賀れんこんも岩国れんこんも、在来の系統ではない。
最近では、中国種と在来種の掛け合わせた品種が主流で、千葉県で生まれた金澄系のものがほとんどだと思われる。肉厚で、根が浅く、収穫しやすい中国系品種の良いところと、食味が良く肉質に粘りがある在来種の良いところを掛け合わせたものだ。おおむね、白い花を咲かせるものは中国系と思って良い。
ただし、れんこんは多年草であり、その土地土地の特徴が出やすい。1年目もよりも2年目、3年目と年を経ていくたびに、産地の土壌や気候に合ったものになっていく。だからこそ、産地ブランドが成立しやすいのだ。
佐賀 白石のれんこんも、当然その一つになる。
そんな白石の中でも、りょくけんでは特に2人のれんこんを取り扱っている。真崎さんと轟さんだ。同じ白石であっても、施肥や防除管理の仕方は個人の判断であり、この二人は、そこがほかの方と明確に違う。最近では、省力化のため、施肥にも機械を使う。畑と違い、水田に水をはって作るので、施肥や防除が大変なのだ。ただ、そうすると、昔ながらのぼかし堆肥が使えない。もともと白石のれんこんは、もっちりとした食感が強く、包丁を入れると、糸を引くのだが、お二人のは、粘りがさらに強い。お二人独自の「ぼかし」がポイントなのだ。
白石の干拓地、という強い後ろ盾を持ちつつも、やはり、この個人のお二人の力量、考え方が、れんこんの更なる進化を生み出すのだろう。
話は違うが、りょくけんでは、関東では珍しい、泥つきれんこんを扱っている。おおよそ、愛知県を境に、洗いか、泥つきかが分かれている。北は、洗い、南は 泥つきだ。保存がしやすいのは泥つきのほうなのだが、大消費地を持つ関東周辺では、洗ったもののほうが尊ばれる。
料理方法によって、食感が全く異なるのも、れんこんの面白いところ。短時間で調理すれば、シャキシャキするし、長い時間をかけて調理すると、ホクホクした食感になる。すりおろしまとめて焼くと、もっちりした食感を楽しめる。
今、そんなれんこんにフォーカスして、お店ではれんこんフェアを実施している。お惣菜によって、どれも食感が違う。ぜひぜひ、全て試してみてほしい。
■れんこん 佐賀県産 100gあたり 128円(税込)
■れんこんのペペロンチーノ 100gあたり 399円
■根菜のごまマヨサラダ 100gあたり 378円
■れんこんの照りツヤ炒め 100gあたり 389円
■れんこんの唐揚げサラダ 399円