アボカド、バナナ、パイン、ブラッドオレンジ、グレープフルーツ。
そんな、トロピカルなフルーツ※が、マンゴーのように国内で作れたら、きっと楽しい。何年か前から考えていた。
アボカドについては、瀬戸内や和歌山ですでに作られている。沖縄にもあるが、台風の通り道のため、経済栽培はされていない。
バナナは、島バナナがある。こちらも沖縄がメインの産地だ。台風の問題もあるし、重量物を沖縄から運ぶため、関東では決して安くないお値段で販売される。
パインも沖縄や日本の亜熱帯地域で育つ。
ブラッドオレンジについても、気候の温暖化に伴って、栽培されている。
ご縁に恵まれ、ここまではすべてお店で販売を実現してきた。
そして、いよいよグレープフルーツ。
何年か前に、浜松の農家さんのつくったグレープフルーツをいただいたことがある。海外のものよりも一回り小さく、皮が厚かった。積算温度※と日照時間が、海外の産地よりも少ないからだと思われた。
一昨年ごろからだったか。「田中さんところでも作っているぞ。」と上司から聞いた。まだまだ若木だったのか、今年からようやくある程度の量がとれるようになってきた。初出荷と言って良い。
田中さんは、宮崎のみかん農家で、極々早生のみかんをはじめ、不知火、甘夏、日向夏 etc. かなりの品種を栽培している。その、新たな試みがグレープフルーツだった。
グレープフルーツは、東南アジアで発見された文旦の偶発実生。まるでぶどうの粒のように房なりになることから、西洋の冒険者が、その名をつけた。
田中さんのところでは、まだ木が若いので、房なりは避けて、間引きを強めに行っている。つい先日まで木の上にならせていたので、熟度も良い感じだ。その結果なのか、かぼちゃのような大きさにまでなってしまったものもある。
国産マンゴーのようなとびきりの甘さはないが、輸入物と遜色ない大きさと皮の薄さになっており、果汁が多い。何よりも、香りが良い。糖度はさほど高くないが、さわやかなグレープフルーツらしい酸っぱさが、良い。
まだ若木なので、味はどんどん良くなる。来年、再来年、二年後。味の変化も、また楽しみだ。
■グレープフルーツ 宮崎県産 1玉 399円(税込) 6月22日~ 数量限定
※ブラッドオレンジについては、シチリア島原産なので、厳密に言えば、トロピカルフルーツ(=熱帯のくだもの)ではない。
※積算温度…果実や花が咲くまでに、一定の温度以上の温度が積み上がることが必要、という考え方。たとえば、積算温度が、10度以上の2000度であれば、気温12度の日が、200日あれば到達する。
※偶発実生…ぐうはつみしょうと読む。偶然にできた品種のうち、種から直接できたもの。そうでないものには、たとえば、枝変わりといって、枝ごとに性質の代わり、新たな品種として認められるものがある。