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潮風と赤土の恵みを受けた「紀州うすい」。

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「あそこが、中西さんの畑や。おるかな?」

和歌山で代理店をお願いしている紀の国りょくけんの中山さんが言った。和歌山県東部の言葉は、限りなく大阪弁に近い。

大阪駅で電車を乗り換え、特急で紀伊半島を南下。駅で中山さんにピックアップしてもらい、ようやく中西さんの畑に着いた。

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田辺湾を見渡す小高い、赤土の丘。

中西さんの畑はそこにある。

“紀州うすい”は、関西ではよく知られたブランド野菜だ。

かいつまんで言えば、グリーンピース、実えんどうだ。

“うすい”という品種名は、大阪の碓井地区で生まれたためだが、色についても、他の品種に比べやや薄い。そんな外観に似合わず、中身の味は濃く、ホクホクした食感で、うまい豆だ。

usui (1).jpg うすいの花。豆類の花は繊細でかわいらしいものが多い。

「一番美味しい食べ方は何ですか?」と中西さんに聞くと、

「俺はたまごとじかな。あとは豆ご飯。グリーンピースなんて付け合わせと思ってる人が多いだろうけど、これは主役をはれる豆だよね。」

と力強い回答をいただいた。

usui (4).jpg 中西さん。親しげな笑顔が印象的。

豆類の旬はとにかく短く、1つの作型※が、一週間ほどで終わってしまう。近年では、ハウスを導入したり、早生や晩生の品種を取り混ぜて、より長い期間、収穫できるように作型を組むのが一般的だが、昔からの品種である”紀州うすい”は、そうも行かない。早生も晩生も無いからだ。

毎年、始まった!と思ったらすぐに終わってしまう。

いつでも何でも手に入るようになった今の時代。そんな短い旬が、少しくらいあっても良い。

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今年は、16日土曜日から販売開始の予定。

田辺湾の潮風と赤土の恵みを受けた、中西さんの紀州うすい。白い粉を少しまとったものの方が熟度が高く、甘みが強い。今年はどんな味に仕上がっているか、楽しみだ。

■紀州うすい 和歌山県産 生産者 中西さん 1袋 504円(税込)

※作型(さくがた) …地域や季節に応じて異なる自然環境において、作物の経済的栽培を行うための、類型的技術体系。「新編・野菜園芸ハンドブック(2001)より」 日常の農家さんとの会話では、単に畑の一単位を差すことが多い。たとえば、播種をずらした畑があれば、違う「作型」になる。