頻繁に耳にする言葉で、最近では、やや陳腐化してしまった感すらある。しかしながら、その実情は、そんなに簡単なものではない。素材の味は、季節によってぶれるし、雨など気候によってもぶれるし、作り手によってもぶれる。一般的な惣菜ビジネスでは、それを一定に保つために、mm単位での調味料を細かに設定する。正直、素材の味は前面には出てこない。せいぜい歯ごたえが残るくらいだ。ただ、そうすることで誰が作っても同じ味=調味料の味に仕上げることが出来る。調味料はとても強力で、簡単に言えば、アミノ酸を加えれば何でも美味しくなるし、酸味料を加えれば何でもくだものの味になる。
「素材の味を引き出す」
趨勢に逆行して、そんな、本当は、ちょっと難しいことを目指しているのが、りょくけんベジデリカだ。少し前から展開されるようになった「とうもろこしのスープ」は正にそれを体現した会心の出来なのではないかと思う。とてもきめ細かくクリーミーでコクと甘みがある。このなめらかさは牛乳?生クリーム?コンソメやだしの旨み?
―否。
原材料はとうもろこし、水、塩、胡椒のみだ。乳製品など他の一切も使用していない。このなめらかさは、店内厨房で腕を奮う料理人たちの努力の賜物と思う。
そしてこのとうもろこしのスープにはもうひとつ驚きが隠されている。一件、具が入っていないなめらかなスープだが、そうではない。ぜひ召し上がっていただき、その驚きを味わって欲しい。
■とうもろこしのスープ 399円(税込)
■とうもろこし 静岡県産 294円(税込) (7月~愛知県産、8月~北海道産、9月下旬~青森県産)