たわわ実った柑橘。これは?
みかんが終了すると、たくさんの品種の柑橘類が登場する。「雑柑類(ざっかんるい)」と呼び、一括りにしてしまうことが多いが、デコポンこと不知火に始まり、見逃せない柑橘が多い。前回はポンカンを紹介したが、今のイチオシは「八朔」だ。
日持ちが良く、夏まで食べられるということから(実際はそこまで持たない)、八朔と言う名がついた柑橘。さくさくした食感で、ブンタン系(グレープフルーツの仲間)のほろ苦さがある。12月~1月にかけて収穫するのが一般的だが、銀座店で販売する八朔は4月にやっと収穫が始まったもので、かなり味が良い。
くねくねと曲がりくねった紀伊山地の細い山道をくぐり抜け、カローラではもう進めない場所まで辿り着く。徒歩で少し行くと、左手のほうに視界が開けたので、ぱっと目をやると、山間というか、谷間にグワっと樹が立ち並び、オレンジ色の点々を目にすることができる。八朔畑だ。
くぼんだ地形に所狭しと八朔が実る。
「ここは、みかんには良いんやが、中晩柑には乾燥がきつすぎる場所なんよ。」
前の写真の空に走っていた線はここにつながる。いわゆるロープウェイ。上の方で収穫したものをこれを使って運ぶ。
日当たりも良く、水はけも良い。しかしともすると、乾燥が強すぎて、果肉がうまく仕上がらないことがあるのだ。よくよく土壌を見ると、石ころだらけ。いわゆる扇状地で昔は川が流れていた場所。排水に優れるが、水もちが悪く、カラカラに乾く。
石ころだらけの土地。
今年は雨が少なく、さらに収穫が遅れ、例年、3月に収穫するところ、4月にずれ込んだ。その分、酸味が抜け、ほろ苦さがほとんど無い、食べやすい八朔に仕上がった。糖度も12度前後と八朔としては抜群の高さで、いつにも増して良い出来だ。見逃しがちな、少し地味な柑橘だが、ぜひ一度お召し上がりいただきたい。
生産者の正賀さん(奥様)。
■八朔 和歌山県産 3個 189円(税込) 3個 504円(税込) ~5月中旬まで