かぼちゃが美味しい時期になってきた。明日から、店頭では白い皮のかぼちゃ「大雪(たいせつ)かぼちゃ」も始まる。北海道の名峰「大雪山(たいせつざん)」の名を冠したかぼちゃで、一株から一果のみを大切に育てたかぼちゃだ。―ギャグではない。
10月末にはハロウィンがある。ハロウィンに向けて何か、かぼちゃを使ったお菓子をできないかと、計画し、考えたのが、かぼちゃのタルトだ。昨年末のクリスマスにもイチゴのタルトを販売し、大変好評を得たが、ほぼ一年ぶりのタルト挑戦となる。かなり大変な作業で、頻繁に販売するのは難しいのが、その、久しぶりの理由だ。
タルト生地にする小麦粉は、北海道産のハルユタカ。日本人の多くは、国産信仰があると思うが、こと小麦に関しては、国産小麦はカナダ産やオーストラリア産に品質において劣る。有名な讃岐うどんは、オーストラリア産でないとあのコシが出ないとか、パンにするには、粘りが強すぎるとか、さまざまな理由でだ。そして、何よりつくるのが難しい。タルト生地も、少し油断すると、えらく固いものになり、食感が悪くなる。
まずはその改善から始まった。タルト生地に使う原材料は、ハルユタカとジャージー牛乳のバターとチェルヴィアの塩の三つのみ。この配合と、生地の織り方、冷やし方を何度か変更し、口当たりの良い、シュクレに近い生地が出来上がった。とても短期間に出来上がり、第一回目の試食以降も安定しているので、「あ、簡単だったんだ。」という印象を受けていたが、当の担当は、裏で相当、研究、練習をしていたらしい。何でも器用にやってのけてしまう方は、果たして得なのか損なのか…。
流し込む生地は、かぼちゃをペースト状にしたものに、りょくけんの卵、キューバの有機ブラウンシュガー、バター、小麦を練って焼いたもの。実に贅沢だ。
当初、これだけでプレゼンされたが、店長から「きれい過ぎる」との指摘。「もっと、”かぼちゃかぼちゃ”したものに。」と、大幅に改定され、熱を通したかぼちゃを、大きいサイの目にカットして砂糖でコーティングし、タルトの上に山と盛った。
まさにかぼちゃの山盛りタルト。
持ってみると、「重い。」と厨房キャプテンがつぶやく。
「これにつやを出したいんですよね。」
「はちみつ、使って良いよ。」
「え。あのはちみつ使っていいんすか!?」
『黒潮の森のはちみつ』で、タルトの仕上げを指示した。日本蜜蜂が採取した貴重な蜜のため、100gで2310円(税込)の高価だが、品質の良さを知ってもらう良い機会になるだろうと思ったからだ。
かぼちゃ本来の甘さと風味が生きていて、食べ応えもあるが、しつこくない。そんなタルトに仕上がった。
原価計算をし、しばらく話し合ったが、破格の値段にすることにした。広くお客様に召し上がっていただきたいと考えたからだ。26日までの予約限定販売(つくるのが大変なので…)。
ご興味のある方は、店頭にて、予約を受け付けているので、お声をかけていただきたい。お見逃しなく!
■北海道産栗かぼちゃのタルト 1260円(税込) 約2人分(14cm直径) ※予約のみ~26日(日)までの承り お渡しは、10/30・31日。
原材料; かぼちゃ(北海道産)、小麦粉(ハルユタカ、北海道産)、バター(ジャージー牛乳のバター、栃木県産)、砂糖(有機ブラウンシュガー、キューバ産)、卵(ベジタブルエッグ、福島県産)、黒豆(北海道産)、塩(チェルヴィアの塩、イタリア産)