(株)りょくけんが、トマトと並ぶ商品に、と力を入れている野菜がある。
パピコだ。
簡単に言うと「ミニパプリカ」。従来のパプリカにはいくつか問題があった。
の3点だ。その問題を解決すべく、開発したのが「パピコ」である。パプリカよりも一回り小ぶりで、カットした半分が冷蔵庫に残るということも無く、使いやすいサイズだ。ピーマンが20~30日で収穫可能になるのに対して、パプリカは60日かかる。60日も実を生らせ続けると、樹が疲れてしまい、実をつけない。パピコの場合は、40日くらいで赤や黄色に着色するので、樹の負担が少なく済み、安定出荷につながり、そのため、パプリカよりも安価に提供できる、というわけだ。
カラーピーマンとも頻繁に比較されるが、それとも違う。ジューシーで、青臭さがずっと少なく、果肉がもっと厚い。パプリカの良い面は変わらず持ち合わせているのだ。
昨年の冬に沖縄で作り始め、夏は北に上がり、秋田県で栽培を始めた。苗植えから4ヶ月。ようやく、たわわに実ったパピコの収穫が始まった。
がぶっとかじるとジュワッと水分があふれ、とても甘みにあふれている。少々、風にあおられたのか擦り傷が額に残るが、まるで作り物のようなきれいな色に仕上がった。
暑くなり始めた6月下旬。彼の地に生産者を訪ねる機会があった。真っ黒に焼けたご主人。愛らしい奥さんたち。本気を出されるとちょっと難解な言語。そんな個性あふれる面々を紹介させていただきたい。
■アースフライヤーズ
秋田県産パピコの最大面積を誇る。農場長は山口さん(写真中央)。沖縄でもみっちり研修を受け、栽培に当たっている。
■堤さん
八郎潟を干拓してできた大潟村の農業法人 正八の社員さん。今回はパピコの栽培を全面的に任された。少し都会的な雰囲気が、他の農家さんと違うのと、言葉が明瞭に聞き取れたので、おかしいと思っていたら、実は、出身は東京。りょくけん銀座店のある、松屋銀座にも、ご家族・ご親戚がよくいらっしゃると言う。脱サラ組である。「秋田は良いですよ~。」と。
■相沢さん
「ほら、ながええべ。」と見せてくれたのは、奥さんと、ご自分の名前が彫られたアクセサリー。真っ黒に焼けた肌に、大きな瞳のだんなさんに、小柄な奥さんがなんだか対照的。きれいに整備された圃場が印象的でした。
■牧野さん
「若ぐ見えっぺ」と相沢さんが紹介してくれたのは、牧野さん。相沢さんとお隣同士で、頻繁に情報交換をしている。夫婦ぐるみで仲が良い。慎ましやかな奥さんと豪快な雰囲気のだんなさんが、これまた対照的。お二人が住む三種(みたね)地区は、本当にサラサラの砂地で、まるで砂漠のような土質。防砂林のために植えられた松林が、私の実家のある茅ヶ崎を思わせる。
■伊藤さん
家族ぐるみでパピコ栽培に従事してくれているのが伊藤さんご一家。大豆を大規模に栽培しており、ハウスは、なんと、このパピコのために新設していただいた。真新しいハウスの中、大きな帽子をかぶって奥さんが整枝の作業をしてくださっていました。24歳の息子さんも就農。「ここら山本ではそんなに珍しくないっすよ。」と。高齢化の進む農業界にとっては嬉しい事例だ。チャーチャチャ♪チャーチャチャ♪ 突然、携帯電話の着信メロディが鳴り響く。コブクロさんだった。
■湊さん
「じゅんさい」でも紹介した湊さんは、パピコも作っていただいている。奥さんのかわいらしい秋田言葉は何だか癒される。「お父さんは、顔が、ごんなにおっぎぐて、おっかない顔してるげど、会ってでげれー。」 兼業農家である湊さんのだんなさんは昼間は別のお仕事をされている。帰りの飛行機の都合で、お会いできないかと思ったが、夕方、早めに仕事を切り上げていただき、ご自宅の近くでお会いすることが出来た。言葉数が少なく、ヒアリングも難しいので、なかなか会話にならなくてちょっと申し訳ない気がしてしまったのだが、帰り際に、「まだ、今度はゆっぐり時間をもって来てげれ。」と優しく微笑んでいただいた。「湊さんはねえ、ぶっきらぼうなんだけど、優しいんだよね。」とは弊社生産部の岡田さん評。
■細川さん
メロン栽培も行っている細川さん。個人的な印象だが、くだもの栽培を行っている方は、総じて品質にこだわる方が多い。野菜であっても、栽培に手をかけてくれる方が多いのだ。生長も生産者さんの中で最も早く、順調な生育だった。素朴で決して多くを語らない静かな方だが、一番の知識と技術があるのかもしれない。数日後、なんとNHKのニュースに登場していた。パピコではなく、メロンの取材だったが…。
■三好さん
奥さんが中心に栽培。でも大事なところでは、ご主人がしっかりサポートしてくれてました。
なんか夫婦って良いなあ、と思う秋田の生産者さんたちだった。主にスーパーさんで好評販売中。
■パピコ 秋田県産