りょくけん東京

りょくけんだより
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カミツレの香りにさそわれて。

IMG_4541maru.JPG カミツレことカモミール。

「カミツレ欲しいの?あれはなあ。あげるもんじゃないんだよ。手間かかってますから。」

農家さんからのお福分け※を出荷する時に、会長※のカモミールを分けていただけないか頼んだことがある。そのときは断れた。その代わり、自分が飲む分だけはあげるから、とりにおいで、と言われた。

カモミールは camomile フランス語に由来する。英語では カモマイルだ 。会長が言う「カミツレ」は和名で、ドイツ語もしくはオランダ語の kamille カミール が日本語化したもの。鎮静効果があり、甘い香りは眠りを誘うという。とても強い植物なので、肥沃な土地に植えると繁殖しすぎて、香りが悪くなるらしい。そのため、会長は、「会社の近くの畑」では、畑の中ではなく、ほとんど栄養が行かない畑の「縁」に植えている。

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カミツレの香りにさそわれて蜂もやってくる。かなり夢中だ。

「市販のはね、機械乾燥。これは自然乾燥でやってるから。時間も手間もかかるの。」そういって、会長宅の事務所の中に入るように言われた。収穫して花だけになったカモミールがカゴに積まれ、重ね重ねに置いてあった。しばらくすると、冷凍庫からよく見かけるお茶の缶に入ったカモミールを持ってきてくれた。「何年か前に、糸井さんところで販売したことがあってね。あれは機械乾燥だったんです。」と、厳重に封をされた袋を開けてくれた。あンまい香りがあたりに広がる…。

「欲しい? あなたに少しあげるから、自分で飲んでみて、市販のものとどう違うか、比べてみてください。」

会社に帰るなり、いれてみた。スタッフのIさんが言うように、ちょっとぬるま湯に。販売部長がやってきて「うわっなんだこの匂いは!?入れすぎなんだよ。そりゃ、麻薬と一緒だから、気分良くなって仕事どころじゃなくなるぞ。」 …入れすぎだったのかー。ま、それも一興。

そのまま飲んでみる。「なるほどおいしい。」香りは強いが嫌味でない。すーっとしたミントに似たさわやかな感じがあるのだが、市販のものに比べ、きつくない。まるいのだ。 もう一杯入れたが、遜色ないものが飲めた。これは良いかも。

ちなみに特に、その、部長の言うような効果は、感じなかった。とにもかくにも、一度、商品をいただくのはこの時点では断れていた。

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都田ルーツファーム(仮称)。手前は収穫を待つキタアカリ。カミツレは、畑の縁に植えてある。

数週間してまた電話があった。

「今から、作業療法の人たちに。カミツレ、収穫してもらうから、畑においで。」 

IMG_4482maru.JPG 作業療法で収穫に従事する方たち。

りょくけんの近くには精神病を患い、社会復帰を目指している方たちが通う治療院がある。そこに、収穫の人手をお願いしているのだ。太陽の下、甘い香りを放つカモミールの収穫は作業療法に適した作業なのだそうだ。6名で収穫しているのだが、やはりなかなか大変で、なかなかすすまない。「収穫が大変なの。」と会長が言うのも納得だ。

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花をつかむ。           ぐっと手前に引く。        フィニッシュ。

乾燥させると軽くなるから、20g分とるのにどれくらいの時間がかかるのだろう?

「いつから始める?」会長が言った。「へ?あ、譲っていただけるんですか?」「でも、この人たちのために、高く売ってね。」「あ。ハイ…。」 農家さんと消費者の間にいる私どものつらい瞬間だ。でも、このカモミールを紹介できるのは光栄なことだと思った。なにせ量がなく、会長もあまり他のところにやらないからだ。

そして数日後。 会長がやってきて、「1kgしかない。大事に売れよ。」 いたずらっぽくまた笑った。

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収穫されたカミツレ。これから乾燥させ、重量はおおよそ1/20になる。

心して売らねばならない。

■カモミール 静岡県浜松市 永田照喜治作 約20g入り 840円(税込) 限定1kg   マグカップに、一つまみで十分に出る。2~3杯分とれる。

※農家さんのお福分け …りょくけん松屋銀座店で配布しているスタンプカードの景品のひとつ。契約農家さんの自家用野菜や、試作品をスタンプカード二枚たまった方にお送りしている。

※会長…(株)りょくけんの会長 永田照喜治(てるきち)のこと。全国を渡り歩き、「永田農法」=ルーツ農法の礎を築く。