最近、店舗で人気の”でっこいしめじ”。
一本一本が太く、食べ応えがあり、ぷりぷり感やうまみを強く感じる片山さんのオリジナルぶなしめじだ。
歓談から施設に戻り、”フタ”がある場所に案内してもらい、大きいしめじの秘密を伺った。
「芽出しをした後に、このフタをするんです。」
見せていただいたのは、しめじの瓶の上をふさぐことができるフタ。
「え?」
何も理解できない。
「瓶の口の大きさで芽が出て、通常のしめじになります。このフタの、この真ん中に穴をあけることで、ああいう大きさのしめじになります。」
フタの真ん中には穴が開いていて、その穴の中からだけしめじが生長するので、出てくる本数が制限される。
例えば、瓶の口から50本くらい出るところ、より小さな穴から成長できるのは、20本くらい。
栄養分が集中するため、ひとつひとつが大降りになるのだ。
「最初は三つ穴を開けてみて。。。うまく行かなかったので、何回か調整して、このサイズになりました。」
「へえ~~~! それってすごい企業秘密なんじゃ!?」
「実は、このフタのメーカーさんはもう無くなっちゃっていて、、、穴も自分がひとつひとつ自分が空けているんで。」
すごい秘密を聞いたけれど、たしかに誰かが真似をできるかというと、できないかもしれない。
なにしろ、植菌から収穫まで120日かかるぶなしめじ。
1度の試作で1年の1/3を費やすのだから、なかなか真似できないだろう。
ただ、片山さん自身も、ぶなしめじ栽培を始めた際は、先行していた長野県の農家さんに全て教えてもらった過去を持つ。
誰かに教えを求められたら、出し惜しみするつもりもないのかもしれない。
「大森さん、すみません、実は、この後、農協の会議があって。。もうそろそろ出なくちゃいけないんですよ。」
農協の役員もお勤めなのか!
静かな印象だったけれど、実に活動的!
最後のお願いで、他のきのこ農家さんもご紹介いただいて、南魚沼を離れた。
小雨が降り、とても暗くて、寒かったけれど、行かないと分からないことがたくさんあった。
充実した気持ちで、高崎駅までの道のりに就いた。