芳香パインから台農17号にメイン品種を変更し、すべてうまくいくと思ったものだが、そうは行かなかった。
急激に経済成長を遂げた中国が、台湾のパインを良い値で買い始めたからだ。
中国市場は、大玉を好む。
そのため、肥料を多めに施してしまったのだ。
一度増やした肥料をやめさせるのは、本当に大変で、、、
特に、パインは栽培に1年7カ月かかるため、改善したとしても、それは1年半後に反映される。
中国向けの畑とりょくけん向けの畑を分け、肥料を減らし、小玉で棚持ちの良い、ぎゅっと引き締まったパイン栽培に軌道修正させるのは3年以上かかった。
その間も、ドルの上下※があったり、寒波があったり、一朝一夕ではなかった。
何度も同僚の担当者が台湾に赴き、張さんや郭さん父子と話し合うことで、安定した品質になったのは、ここ5~6年の事ではないかと思う。
別の会社にはなったが、元同僚には頭が下がる。
張さんは言う。
「台湾の一番ではなく、日本で一番、と言われたい。」
張さん。 |
中国とのビジネスに関心が向きかけた時期もあったように思うけれど、今ではそんなことを言われる。
十数年かけて培った現地との信頼。
品質は、その信頼の上に成り立っている。
2020年は、雨が少なく、大きな気温の上下もなかったので、品質は良い。
ただ、小玉傾向に育った。
それでも思いがけないコロナ禍の影響で船代が高騰したそうで、少し値上がり。
何もかもうまくいくようなことは、なかなかないかな。
※台湾とのお取引は主に米ドルで行われるため、相場が変わるリスクがある。