長崎の離島、高島の木下さんから入電があった。
「そろそろ大玉のファーストが良かですが、どうですか?」
冬春作のトマトは特にそうなのだが、最初に出るトマトの糖度は高くない。
トマトはツル性の植物で、世界一般的に見ると、地這い(じばい)と言って地面に這わせて育てることが多い。
日本では支柱を立てて、ツルをそこにつなぎ、重力感覚を持たせる。
地這いだとトマトは一斉になり、一斉に熟すので、一斉に収穫する。
支柱を立てると、下の段からだんだんと実を生らし、順番になっていく。
こうすることで、ほぼ半年にわたる長期間の栽培を可能にする。
栄養も順番に吸収するので、ひとつひとつの実の品質も上がる。
高糖度のトマトを作る為に、水やりを減らすと、木は3段くらいで枯れてしまう(だから子孫を残そうとしてトマトの実に栄養が行き、甘くなる)。
5段目くらいまでは木(=親)を丈夫に作るために、水やりを多めにするわけだ。
だんだんと木ができてきてから、水分コントロールを強くし、トマトの糖度を上げていく。
ファーストトマトと言えど、出始めは糖度が上がらないのは、そのためだ。
そして、まだ寒い時期に育つため、じっくりゆっくりと育つので、玉が大きくなり、ぎっしりと重い。
これが、大玉ファーストトマト。
糖度は5度前後なので、フルーツトマトのひとつの基準である7度にはまだ及ばない(1度違うとかなり食味が違う)。
ただ、ボリュームがあり、ちょっと調味をすると、ぐっと美味しくなる。
この、だんだんと味が上がっていく様もぜひ楽しんでいただければと思う。
2月に入ると、糖度8度(=完熟とりょくけんでは読んでいる)のファーストも始まるはずだ。