りょくけん東京

りょくけんだより
りょくけんだより~ BLOG ~

産地情報 社長日記 野菜情報

大分ほっぺリーフ 初出荷式3。

ハウスの、唯一開いていた出口には、一人のおばあさんが杖をついてたたずんでいた。

手には、しっかりとベビーレタスが握られていた。

「これ、もらっていって良いかねえ?」

「良いじゃないですか!あのままダメになってしまうかもしれませんし。」

市長と金子さんが手に持っていたカゴには、まだまだいっぱいベビーレタスがあって、そこから一握りとっていったとしても、何に影響があるわけでもないだろう、と思った。

おばあさんは、察するに地権者の一人。
初出荷式に招待され、ハウスも見学し、何をやろうとしているのかを把握して、帰宅するところだったと思う。

「従業員の方が迎えに来て、送ってくれる、というから。」と待っていたのだった。

「しかし、良いねえ。これは売れると思うわ。若い人はこういうの好きやから。しかもやわらかそうだから、食べやすそう。これは売れるやろう。」

「そうですね。」

金子さんのことを誉められた気がして、嬉しくなった。

「しかし、これは収穫が大変やな。どのくらい人でとるつもりなんやろ。」

「違うと思いますよ。あそこにトラクターがあるじゃないですか。あれがカッターになっていて、機械で収穫するんだと思いますよ。」

「あ、そうかい。そうだよね、機械で取るよね(じゃなきゃ大変だよね)。」

おばあさんも一安心に見えた。

―でも、それは誤りだった。

後になって確認したら、”手刈り”だった。

葉の長さなどを調整したり、機械で取るとやわらかい葉が痛むので、手で刈り取るのが、特徴の一つなのだとか。

頭の中に、奥行き100mのベビーレタスを思い浮かべ、途方も無いことに感じた。
一人で、一列(3m×100m)を刈り取るのに、一体どのくらいの時間が掛かるのだろう?

そのときの私は、そうとは知らず、地権者の一人と思われるおばあさんと仲良く話してしまっていた。

「そっちから向こうは譲ってくれなくてな。奥にも家がみえるやろう?あそこもな。」
と解説してくださった。

「お宅は記者さん?」

私がカメラをぶら下げていたので、そのように見えたらしい。

「あ、いえ、金子さんの、金子社長の元同僚です。ずっと一緒に働いていたんですよ。」

「ほお。そうかね。じゃ、私はここで車を待ってるから。」

「はい。ではまた!」

そういって、また駆け足で、青の外装の会場に戻った。