会場の半分くらいが、式典に充てられ、パーテーションで区切られた残りの向こう半分は、立席の宴会場になっていた。
すごすごと通り過ぎて、出口のほうに向かう途中、会場の真ん中で、呼び止められた。
「大森さんじゃないですか!」
見知った顔が今一人。
りょくけん松屋銀座店を立ち上げる際、特にデリカのメニューやオペレーションを形作るまでには、多くの方にお力添えいただいた。
目の前に居る菅(すが)恵美子さんもその一人だ。
フレンチミクニで修行をして、傘下のレストランを任されるも、そこを飛び出して、やっぱりイタリア料理!と埼玉でレストランをした後、現在は大分でイタリア料理店のオーナーシェフを務めている。
※詳しくはこちら↓
http://www.igc44.net/profile/5904/
(出典:女性起業家・企業化プロジェクト)
金子さんもその過程を知っていて、今回はほっぺリーフのベビーレタスを使ったケイタリング(=出張料理)を依頼したのだそうだ。
菅さんの下で働く3名ほどの方と、手際よく列席者を迎える料理を仕込んでいる最中だった。
「また後ほど!」と声を掛け合って、私はハウスに向かった。
気づくと、金子さんの奥様もお子さん二人を連れて、いらしていた。
「お父さんすごいね!」とお子さんに声を掛けると、少し嬉しそうな、はにかむような、そんな仕草をして、奥様の陰に半分隠れて歩き始めた。
実際、すごい。
奥行き100m、32連棟のビニールハウスを目の前にして、心底、思った。
大分は、台風の通り道でもあるので、それに耐えられるように作られた”耐候性ハウス”。
骨組みも、基盤もかなりしっかりさせたものになっている。
よくこれだけの土地を、地元の方も貸し出してくださったものだ。
私のことではないのだが、感謝せずにいられない。
開放されている入口は、一番奥のほうで、そこまで200m以上ある。
杖を突いた方もいらしていて(おそらく地権者の方だろう)、バンで送迎も行っていた。
集団からだいぶ遅れていたので、さっと走って、ハウスの入口へ。
すでに黒いスーツの方で入口はいっぱいだったけれど、物怖じせずに中に入ることにした。
テレビカメラに向かって、市長と金子さんが収穫したばかりのベビーレタスを、試食しているところだった。
金子さんと大分市長 |
フォトポイントだったが、完全に逃した。。。
注目の市長のコメントは―。
「うん、新鮮な味がしますね。」
一行がハウスから出た後も、品種や栽培と収穫や種まきの感じが見たくて、しばらくハウス内を廻った。
品種は3種類。
バターレタスとロメインレタスと赤のオークレタス、だろうか。
バターレタス。 |
レッドオークレタス。 |
ロメインレタス(コスレタスとも言う)。 |
きれいに収穫された緑の葉も赤の葉もつまんで食べてみた。
なかなか美味しい。
修行したとはいえ、農業一年生。
本当にすごい。
生産して、経営者を務めているほかに、大分から従来どおり営業もしているのだから、本当にすごい。
聞けば、一日あたり携帯電話の着信が100件~120件あるらしい。
雨の音が強くなってきた。
ハウスの屋根は、雨音を余計に強く聞こえさせる。