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桃の美味しさの秘密を訪ねて1。

桃の栽培量日本一を誇るくだもの王国、山梨。

県内でも、いくつかの産地ブランドがあり、春日居、一宮・御坂、加納岩、南アルプスなどが挙げられる。

春日居(かすがい)が、一般的にもっとも市場評価が高い産地で、高値で取引される。
笛吹川周辺の扇状地で、水はけが良く、糖度が上がりやすい土地柄で、地元の農家さんと農協の努力で、高い評価を受けている。

一宮・御坂(いちみやみさか)地区も、評価の高い地域で、同じく扇状地で、水はけが良く、かつ昼夜の気温差が高いため、糖度の高いくだものができる。
長年、お付き合いしてきた、名人 高橋さんの桃やぶどうが、この地域なので、その美味しさはよく知っているつもりだ。

加納岩(かのいわ)地区も、春日居や一宮御坂と隣接する地域で、昔から桃栽培が盛んで、美味しい桃がとれる。

最近、評価を上げている地域が、少し離れた北部にある南アルプス市の桃だ。
扇状地で、”月夜で枯れる”と言われるほど、乾燥が強い地域で、糖度が上がりやすい。
一等地である、春日居や一宮御坂よりも、市場評価が高くなく、少しお安めに、桃が手に入ると言って良い。

前職のユニクロの野菜事業に携わっていたときには、この南アルプスの桃を扱っていた。

そして今。

高橋家正翁が桃栽培から引退した後、桃を託しているのが加納岩の小林さんと雨宮さんの両名。

特に、今年は雨宮さんの桃を扱っていたので、お礼もこめて、訪ねたかった。

「遊びに行ってもよいですか!?」

―今期は、農家泣かせの年と言って良い。

雨は降るところには降って、降らないところには降らない。
内陸の山梨や長野は、雨が降らず、”旱魃”だった。

桃は、大きくならず、小玉傾向。

5kgで18玉とか20玉サイズがほとんどで、大玉は市場にほとんど出回らなかった。

ところが、りょくけんに入荷していた桃は、例年通り、大玉。
5kgで13玉クラスになると、本当に見事な大きさで、いかにも美味しそうで、実際に、えも言われぬ美味しさ。

その秘密を、ぜひ聞きたいと思っていた。