舘山寺周辺の畑は、これといった名産がない。
畑が少しあけば、とりあえずキャベツを植える。
キャベツは指定作物なので、植えておけば、補助金が出るからだ。
病気になりにくいうまくもないかたい品種を作付けしておけば、収入になるわけだ。
それでは未来がない、と考えた永田さんが、ここ数年、”何でもまず作ってみて”、出した答えが、さつまいも。
生で売るのではない。
干すのだ。
干し芋にすることで、販路を広げたようである。
舘山寺は幸い、浜名湖観光の中心地で、いちごの観光農園もあり、直売所の景気が良い。
少しパッケージングや食べ方などを添付して販売すると、他の生産者よりも高めの値段設定にもかかわらず、良く売れるのだそうだ。
それは、そうだ。
りょくけんの社長として、百戦錬磨、修羅場をくぐってきている。
いろいろなスーパーにも売り込みに行った。
高齢化の進む舘山寺の周辺で、農業マーケティングにおいて、右に出るものはない。
さつまいもの畑は、さといもと違い、カラカラに乾いていた。
どことなく、植えてある苗も元気がないような。。。
「さつまいもは、植えた後三日間だけ水をやります。後はごらんのような乾燥状態でもまず問題ない。」
さつまいもを選んだもうひとつの理由は、手間、である。
虫がつきやすく、農薬散布が必須であるキャベツと違い、さつまいもは、かなり丈夫。
江戸時代の大飢饉の際に選ばれた作物である。
農薬もあまり必要でない。
高畝に仕立ててあり、畝には、さといも同様、黒いビニールシートが張ってあるが、畝の間には敷いていない。
草勢が違い、さつまいもはたちまちつるを伸ばして、そこら中に繁茂する。
雑草に負けないのだ。
「でもこちらの畑には、さといもの畑と違って、チューブがないのに、どうやって、こんな広い畑に水やりをするんですか?」
たしかに、潅水チューブがない。
常に水遣りが必要なさといもと違い、さつまいもは、ピンポイントで必要なので、さといもまでの設備が不要だ。
代わりに、そこかしこにある、用水の口を使う。
簡単に言えば、農業用の大きな蛇口があり、消防のホースみたいなものつけて、一気に撒く。
photo by hijiki ishiduka |
説明されてもいまいちイメージがつきにくい、という顔をしたのか、永田さんが蛇口をひねって、一気に放水してみせてくださったた。
photo by hijiki ishiduka |
お~!と一同。
もちろんホースをつけて本当は行うのだが、即興でその水の勢いを見せてくれた。
「じゃ、次のところにいきましょう。」