りょくけん東京

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北野さんが来たの!

銀座店のお店に到着して、店頭に立っていた。

若いご夫婦が何かを探しているような素振りでお店の前を通り過ぎていったのが見えた。

その数分後。

「大森さん!」

声のしたほうを振り返ると、先ほど見かけた若い夫婦が私を呼んでいる。

「北野さん!」

北野さん 写真は8年前。

10年から7年くらい前までの3年間、私は、産地開発と農家さんとのコネクションを築くため、本当に全国を駆け巡っていた。
正直、最近はいけていない。

1週間に1回、”ひどい”ときには、2回は産地を訪ね、おおよそ1回でれば、3~4件の農家さんを訪ね、話を聞いて、自分の知見を磨いた。

「8年ぶりですかね?」
「はい、そうですね、最初にお伺いしたときは、北野さんにはお子さんはまだいらっしゃらないときで、二回目にお伺いしたときには、生まれてらっしゃいました。」

北野さんは少し考えながら、「ああ、そうやわ、やっぱり8年前くらいやわ。」と納得された後、
「良かった~、わからんのちゃうかな、と思ってたけど、わかってくれて~。」

正直、生産者さんの顔は、こちらは分かる。
ブログはもちろん、ネットや通販の同梱するチラシに、しょっちゅうその写真を使うからだ。

むしろ北野さんが、僕を覚えてくださっていたほうが珍しく、とても嬉しい。

一歳しか年が違わず、実は、前職がユニクロであることも一緒で、なんとなく話も合ったから、訪ねたときもよく覚えている。

水なす。

泉州水なすの農家さんで、若手農家のホープ中のホープ。

それでも、北野さんを訪ねたきっかけは、水なすではなく、玉ねぎだった。

当時、私は、商品の見直しを行っていて、基本野菜から手をつけていた。
そんな中で、淡路の玉ねぎの源流を訪ねると、大阪の泉州にあることが分かった。

中でも「貝塚極早生(かいづかごくわせ)」という品種が良い、とのこと。

扁平で、形、大きさがそろわず、淘汰された品種といってよい。ただし、食味や歯触りが良い。

それを捜し求めて行ったら、北野さんに辿り着いたのだ。

失礼だが、水なすには、あまり興味がなかったように思う。

そのイメージを変えたのが、他ならぬ弊社のお惣菜。

水なすと貝塚極早生とトマトとしょうがのマリネがすごく美味しかったのだ。
なるほど、なすとトマトは同じナス科の植物だ、とうなるほど好相性で、ジューシーな水なすが恐ろしく美味しかった。

泉州水なすとトマトのサラダ

りょくけんの惣菜は、本当に手前味噌だが、味付けは、ほとんど塩。
それに油と酢。

本当に素材の味ばかりなのだ。

そんな思いを少しでも伝えたくて、北野ご夫妻に、りょくけんのお惣菜を試しに食べていただいた。

フルーツトマトのカプレーゼ、冬野菜のしょうがマリネ、ブロッコリーのアーリオオーリオ。。。

ひとつひとつに、『うん、うまい。』『うまいなぁ』と言ってくださった。

そうしている間に忙しくなってしまって、他のお客様に対応。

北野さんは、察してくださったように「すんません、これで退散しますわ」と目配せしていかれた。
手土産のひとつでもお渡ししたかったが、それはまた今度。

とにもかくにも、銀座という立地のおかげか、地方の農家さんが、お店を訪ねてくださるのは、本当にありがたいことである。