東京は情報であふれている。
幕張メッセまで足を運んだ翌日は、お店に出勤する前に国際フォーラムへ。
「日本の麦の底力 ~日本の麦がもっと好きになる」
http://nihon-mugi.jp/
という展示会が開催されていたからだ。
松屋銀座に出店する際に、さんざん探した国産小麦。
野菜惣菜を作る際に、小麦粉が必要だった。
当時は、本当に種類が少なく、ほとんどが中力粉か強力粉。
薄力粉は、岡山県で細々と作られていた「しらさぎ」という小麦粉くらいしかなかった。
よくよく調べれば、昔は相当な栽培量があったという。
関東でも、埼玉や神奈川の湘南地区で、普通に作られていた。
原因は国の政策だ。
国内の稲作を外国産の安い米から守る必要があった。
米に保護政策を施す代わりに、アメリカや諸外国から小麦と大豆を輸入する道を選んだのだ。
実際、オーストラリアやアメリカのように乾燥した土地で作られる小麦は、国産の小麦の品質を凌駕しており、安く高品質な小麦に太刀打ちできず、生産されなくなった。
ところが、米が余り始めた。
今度は、稲作からの転換を図るために、小麦の生産を奨励し始めたのだ。
TPPに対抗する国内の農業への支援もあったことだろう。
展示会にはとても優れた小麦が紹介されていて、興味深かった。
全体的に、手作り感があり、つい前日に訪ねた幕張メッセのマーケットショーには規模やお金のかけ方に差があったが、参加企業は工夫を凝らして一般の方や企業の人にも盛んにアピールしていた。
ここ数年で国産の小麦事情は大きく変わったようだ。
薄力粉も多数あったし、ホットケーキもパンも麺類も、無理なく国産小麦から作られる時代になったことを強く印象付けられた。
長蛇の列ができていたラーメンは、美味しかったが、アミノ酸とタンパク加水分解物で作られた美味しさで、私としては残念だった。
それでもいくつか、私どもでも取り組んでいきたいとおもったものが3点。
1.もち麦
お米に”うるち米”と”もち米”があるのと同様に、麦にも”もち麦”がある。
もちもちした食感で、非常に特徴がある。
食べごたえがあり、美味しい。
栄養価も高い。
実は、昨年11月に、松屋内でのほかのお店とのコラボで”小麦サラダ”に取り組んだ。
が、菌検査でぎりぎりの菌数が出てしまい、断念した。
食しても大丈夫なぎりぎりのラインだったが、事故を起こしては元も子もない。
りょくけんは次亜塩素酸を使用していない。
工程には全く問題がなく、生野菜にわずかに残った土壌菌が、豊かな栄養素である麦で増殖したものと考えた。
展示会に参加した企業の方にも聞いたが、満足のいく回答は無かった。
2.裸麦
外側の皮が薄い小麦で、こちらも昔からあったものだそうな。
普通の麦よりも栄養価に富み、消化にも良い。
今はやりのグラノーラをこの裸麦からつくり、販売する方もいた。
朝食は日本の課題だと思う。
私も実生活でとても迷う。
自分はまだしも、子供たちに対して、あの限られた時間の中で、何を与えられるのか…。
3.スーパー全粒粉
日本の技術開発力はやはりすごい。
小麦粉は、精米いやさ精麦されて白い部分だけで作る。
全粒粉は玄米にあたる未精麦の粉だ。
粒子が荒く、パンにするとややごわつくし、技術が必要だ。
が、今は精製の機械が進歩し、非常に細かい粒子にすることに成功。
試食にシフォンケーキを供されたが、まったく違和感なく食べられた。
こちらの企業は、本当に素晴らしく、有機栽培のものや、最新の品種、国産などの原料も抑えており、また取引先によって粒子の細かさを変えることも、配合をすることも可能だそうだ。
導入はまだ少し先の話になるかもしれないが、大いに感化された展示会だった。
※ちなみに、昨年クリスマスのときにつくった「かぼちゃとじゃがいものニョッキ」には、香川県が誇る”さぬきの夢2000”という品種の小麦を使用した。
もちもち感と甘みが素晴らしかった!