ミディトマト |
中玉のトマトを日本では「ミディトマト」と呼ぶ。
”ミディアム”トマトの略称だと思われる。
大玉トマト、ミディトマト、ミニトマトという3分類の中では、いま最も斜陽を迎えている品種群と言ってよいかもしれない。
大玉のうまみと、ミニの甘みを併せ持つ中玉トマトという触れ込みで、まるで、大玉トマトとミニトマトを交雑したような印象を与える品種群だが、実はそういうわけではない。
ミニトマトは、栽培というか、収穫が労働集約的で農家の悩みだった。
実が小さいので、収穫をしても、大玉のように重量が稼げない。
それを解決するために生まれたのがミディだ。
が、市場価格はだんだんと下がり、「収穫が楽で重量も取りやすい」ということで、最近では再生産可能な単価を割り込み、作る農家が激減してしまった。
また、「ミディトマト?」という方が多く、消費者への浸透も進まなかった。
優秀な品種はあった。福井県が力を入れて一斉に売り出した「越のルビー」は華クインだったり華小町という品種だった。
美味しかったが、1~2年で消えてしまった。
私の好みは、「カンパリ」日本名「ファン ゴッホ」だった。
パリッとした皮の中に、うまみがいっぱい詰まっていた。
が、この固い皮が災いして、広がりきらなかった。
現在のミディトマトの主流は「シンディスイート」と「フルティカ」だ。
いずれも皮がやわらかく、お子様でも食べやすい。
失敗作の華クイン。うねうねに。 |
華クインとその改良品種「華小町」も良い品種だ。
皮がやわらかく、食味も良い。
ただ、りょくけんが実施する水をほとんど与えない栽培方法だと、妙な味になり、妙な形になる。
りょくけんの生産者で言えば、石川の本田さんのように「あまやかし栽培」が向いている。
Oisixが打ち出している「みつとまと」もミディトマトだ。
特殊なフィルムを土に敷いて、水分コントロールをして、凝縮させた食味にしている。
赤系のトマトなので、ケチャップやトマトジュースなど加工にもよく使われている。
年間で最も好きなのは、北海道 中野さんのつくるミディトマト。
品種は前述の「ファンゴッホ」。
オランダ生まれの品種で、かの地を出身とする画家の名前にちなんでいる。
夏の間しかないが、濃厚な甘さとうまみを醸し出す。
冬も大分の名人、山崎さんにつくっていただいていたが、トマトベリーに注力するようになったため、ここ数年作っておらず、一年を通しての提供ができていない。
ぜひ夏になったら、中野さんのミディトマトも召し上がってほしい。
ミディトマトへのイメージが変わるはずだ。