2010年6月撮影。写真は露地もの。
ロメインレタスには借りがある。
社長や部長がアメリカに行った際、その美味しさに魅せられた。アメリカでは、ロメインレタス(コスレタスとも言う)を、日本の白菜のように大きく育てる。外葉を大きく育てて、光合成を活発化し、栄養を成長点である中心部に運ぶ。中身は外葉に覆われて、軽く軟白化し、最高の甘みになる。そこまでになるには、かなりの時間を要するため、与えられた肥料分も完全消化。ありがちな苦味はなくなる。外側は廃棄し、黄緑の葉の部分と、中心部だけを分けて売る。中心部は「ハート」と言って、一番高価になる。
真ん中の部分がもっとも美味。
すっかりその美味しさに魅せられ、アメリカ・サリナスから大量に輸入した。日本の食卓に、素晴らしい美味しさのレタスが紹介される。
―はずだった…。
検疫所にて、害虫が発見され、消毒したところ、すべて葉が枯れて売り物にならなくなってしまった。
そんな話を、社長や部長に幾度と無く聞いた。
「ロメインレタスをやりたい!」と進言すると、決まって「日本の気候ではダメなんだよ。やはりアメリカのサリナスみたいに乾燥した地域でないと。」
「じゃあ、日本では美味しいロメインレタスは無理ですか?」
「そうだな、よほど乾燥している場所で、時期を選べば。例えば冬にハウスで作っているような…。」
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そんな農家さんに、今年は二人も出会うことができた。
宮城の大村さんと奈良の山浦さんだ。
大村さんは、26歳と若く、やんちゃな印象を残した美男子だ。アメリカで農業研修を経験し、宮城に戻って、農家として独立している。様々な西洋野菜を積極果敢に栽培し、地元のレストランを中心に販売している。6月に初めてお会いした時、「こんなにたくさんの野菜を栽培している中で、一番自信があるのは、何ですか?」と聞いた。少し考えた後、
「やっぱり冬のロメインレタスですかねえ。今(=6月)のレタスなんかより絶対美味しいですよ。十分に結球して、葉が巻いてくると、苦味が全然ないし、ああ、甘いな、っていう感じで。」
「冬にロメインレタスですか?どこで作るんですか?」
「あのハウスの中ですよ。」
日本の冬は乾燥する。ハウスの中でなら、十分な気温に達する。日本では、不十分な結球で出荷してしまう生産者が多く、それがロメインレタスの評価を下げている。本当の美味しさは、十分に結球し、中が軟白化したようなロメイン!
山浦さんは、サラノバレタスを縁に知り合った農家さん。サラノバと同じオランダの種苗会社のロメインレタスを試験栽培しており、それに注目した。ミニサイズのロメインなのだ。逆説的だが、そのミニサイズのロメインを、通常サイズくらいに育ててもらい、十分な生育と成熟と結球を促す。半月前に収穫可能な日数だったが、寒さにあたり、今も、畑にある。大きくなろうとする動きはほぼ止まり、栄養だけを静かに吸収、甘みを増している。まるで霜降り白菜のようなレタスだ。
大村さんのロメインレタスは、池袋店にも銀座店にも入荷し、さくさくした歯ごたえと甘みで人気を博している。山浦さんのロメインレタスも来週には、サンプルが届く予定。
社長や部長の描いたものに一歩でも近づけるように。今から待ち遠しい。
クリスマスには、このロメインをつかったシーザーサラダが登場予定だ。
■ロメインレタス 宮城県産 1玉 315円(税込み)
■ロメインレタス 奈良県産 1玉 315円(税込み) 12月下旬ころ~