シナノゴールド
今、りんごが賑わいを見せている。
赤いりんごに、青りんご、酸っぱいりんご。
長野のりんごに、青森のりんご、北海道のりんご。
一口に「りんご」と言っても、それぞれ風味がかなり違う。「どれが美味しいの?」と言われると、かなり困ってしまうところだ。12月になると、王者であるフジが、売り場を席巻するので、ぜひ色々な品種がにぎやかな今のうちに試し、自分好みのりんごを見つけてほしい。
【長野のりんご】
・シナノスウィート 長野県松川町 ましの農園さん …フジ×つがる。つがるゆずりの柔らかな食感で、酸味が少なく、甘みを感じやすい。出荷できる期間が長く、その間、いつ食べても美味しい特徴がある。長野で生まれた品種で、前々知事の田中康夫氏が名付け親。標高700~800mの、寒暖差の大きな畑で、できるだけ肥料を与えずに、育てていてる。
・シナノゴールド 長野県須坂市 吉池さん …千秋×ゴールデンデリシャス。ここ数年、良い生産者を探して、やっと出会えたりんご。青りんごだが、果肉が固めで、パリッとした食感。糖度も高いが、程よい酸味がある。少し西洋梨に似たような風味がある。こちらも田中氏の命名。標高は300mくらいの地域に点在している。肥料を全く与えない。日持ちがよく、シナノゴールドの特徴が出やすい。
【青森のりんご】
・弘前フジ 青森県弘前市 棟方さん …フジの枝変わり。販売店によっては「早生フジ」という名称で売られている。一番人気のフジの特徴を持ちながら、一ヶ月も早く収穫が可能。弘前の名峰 岩木山のふもとの緩やかな斜面で、肥料を与えずに栽培。パリッとした食感と、甘み、酸味が適度で美味しい。
・トキ 青森県弘前市 棟方さん …土岐 伝四郎さんが、発見した品種。抜群の甘さを誇る。青りんごだが少し赤みがさしている方が美味しい。こちらも岩木山のふもとの緩やかな斜面で、無肥料で栽培。
右の写真は、着色したトキ。糖度が高い。熟度が進んでいるので、日持ちが悪い傾向にある。
・紅玉 青森県弘前市 棟方さん …アメリカで生まれた品種。紅玉は和名で、Jonathan ジョナサンが、もともとの名前。こうぎょくともべにだまと読む。酸味が特徴のりんごで、果肉はやわらかめ。生食はもちろんだが、煮込み時間が短くて済むこと、加熱しても香りが残ること、酸味がやわらかくなり、りんごの特徴が出やすいため、加工に向くと言われる。まれに蜜が入ることも。ただし、日持ちが悪くなってしまう。
【北海道のりんご】
・あかね 北海道余市町 安芸さん …ウースターペアメイン×紅玉。真っ赤なりんご。珍しく、「香り」を重視して生まれた品種。その結果、日本で開発された品種の中で二番目に酸っぱいとか。一般栽培では、糖度は9度くらいのものが多いが、山の上で、皮の赤みが果肉に差すまで熟度をあげて栽培しているので、糖度は12~13度くらいある。さわやかな甘みのりんごに仕上がっている。紅玉の子供なので、加工にも向く。
熟度が高いため、皮の赤みが、果肉に差しているのが分かる。
・ひめかみ 北海道余市町 安芸さん …フジ×紅玉。岩手県で生まれた品種。パリッとしたフジの食感、甘みに、紅玉の香りと酸味が加わった、きわめてりんごらしい食味のりんご。ジューシー。熟度の達人らしく、蜜もかなりの確率で入っている。
・昂林 北海道余市町 安芸さん …フジ×王林と考えられていたが、今ではフジの枝変わりと考えられている。ひそかにイチオシ。北海道で育った「フジ」と考えてよい。パリッとした食感(語彙が貧困。。)に、適度な酸味があり、とても美味しい。熟度の達人、安芸さん。蜜もかなりの確率で入っている。