長野県 川上村。
JRの中では日本一高いところにあるという野辺山駅(標高1345m)から、車で数分の場所に位置する。文字通り、あたり一面、レタス畑が広がる。余計な水分が入らないように白のビニールシート(マルチという)が敷かれ、正確なピッチでレタスが植えられている。川上村は、夏のレタスの、いわゆるメッカといえる場所だ。
一つ一つの畑の面積が広大で、大規模農家や法人が多いため、なかなか細かいことに対応してくださる農家さんは少ない。
広大なレタス畑が広がる中、やけにおしゃれな畑が、見えてきた。今回の訪問先、Farm HIROさんの畑だ。農園主、由井さんは農協の理事も勤め上げた方。由井さんも、川上村の他の農家さんと同じく、3.2haのレタス畑を有す大規模農家だ。ところが、毎年、自分の畑の1/10は、必ず試験栽培に充てて、次世代の商品に挑戦する主義を持ち、川上村にあって、とても稀有な存在だ。さらに頼もしいことに、息子さん二人も就農。3人ともにそのことに関してとても誇りを持っているように感じる。
「このレタスを紹介された時、久しぶりに、『作りたい』って思ったんだよね。」
それが、サラノバレタス。
オランダの種苗会社が開発した品種郡で、ヨーロッパで大ヒットしているレタスなのだという。葉の形が美しく、色も様々、そして食味が良い。特に芯の部分をくりぬくと、葉がばらばらになり、調理?がとてもしやすい特徴を持つ。「サラダイノベーション=サラダ革命」を略して、Salanova=サラノバレタスと名づけられたらしい。
夏はレタスの旬と言って良い。多くの作物が重くずっしりしたものが良いもの、とされる中、レタスは例外だ。持ってみて、ふわりと軽い方が良もの。その方がやわらかく、甘みがあるからだ。寒い中でじっくり育つ冬レタスは重く固めだ。ある程度、気温の高い中で育つ高原レタスは、適度に時間がかかって育つので、味が乗る上、やわらかく育つのだ。また、関東圏にその日のうちに届けられる立地も生かし、朝というか深夜3時から収穫を始め、午前中には消費地に向けて出荷する。ちょうど訪れた日はサッカーW杯の期間中。前日には、日本対デンマーク戦を聞きながら収穫していたのだという。
由井さんによると、品種によって生長スピードも違い、一筋縄では行かないようだが、恵まれた環境に、由井さん親子の情熱が、特徴のあるレタスにさらにおいしさを加えているのだと思う。
■サラノバレタス 長野県産 1株315円