東京駅を出て、新幹線で90分ほど。JR上田駅についた。すでに標高が450mくらいあり、空気が気持ち良い。車を走らせて30分くらいだろうか、くねくねした道を上がっていき、ふと気づけば、耳が詰まっている。どんどんと標高は上がって行き、生産者の正木さんのお宅に着いたときには、標高は1300mを超えていた。
菅平高原(すがだいらこうげん)。
標高1000m~1500mに位置するこの高原では、夏は、その冷涼な気候を利用して、レタスやキャベツなどの農作物と各体育会系の運動部の合宿、冬は、斜面と雪を生かしてスキー場としてにぎわう。東京からも比較的近く、高原という特性をフルに生かしている地域だ。
ゆるやかな傾斜地。日当たりがよく、水はけが良い。斜めとなりはスキー場だ。
正木さんもその例を漏れない。合宿所とスキー場を経営する傍ら、大規模にレタスを作っていただいている。りょくけんとは、もう数十年のお付き合いになる。除草剤不使用、土中の微生物を活発にする栽培方法を実践している。
正木さんはご夫婦と長男の3名の家族で農業に従事している。息子さんはまだかなり若い。
しばらく合宿所の食堂でお話しした後、畑に連れて行っていただく。実は、ここの圃場に行くのは初めてだ。合宿所からさらに上がって行き、広大な圃場が目の前に広がる。正直、とてもきれいだ。
周囲には手付かずの森が広がっており、広い空と、眼前に見える山がとてもすがすがしい。
「昔は、周りと同じ森だったらしいんです。もう30年以上前に切り開いて、この畑をつくったと父が言っていました。私は知らないんですけどね。」
この森を切り開いてつくった。
広大な敷地に、草の繁茂を防ぐために白いマルチ(農業用のビニール資材のこと)が敷かれ、その上にびっしりとレタスが植えてある。
「この白いマルチを敷くのに、どれくらいかかるんですか?」
「そうですね、3人でやって3日ですかね」
腰をかがめて、畝にそって、シートを敷く作業。重労働だ。
「昼間の日差しは強いですけど、夜は窓を開けては寝られないくらい涼しいというか、寒いですね。」
その昼と夜の気温差が、野菜にはちょうど良い。美味しい野菜が育つ秘訣だ。どこまでも澄んだ青空が、この空の下で育ったレタスなら、美味しいに決まっている。そんな思いに感じさせる、空の色だった。
←正木さんの息子さん。生育具合を確認中。
毎年、決まって7月1日から、出荷解禁になり、10月の中ごろまで続く。やわらかくふわっとした甘みのある正木さんのレタス。入荷によって少し小ぶりのときもあるが、美味しいので、ぜひお試しいただきたい。
■レタス 315円/玉(税込み) 長野県産
←サニーレタス。気温差があるため着色が良い。